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2019/06/17白山宮 足王社 最近の様子

2017年に完成した白山宮足王社、数年経って、
本殿左の授与所などの改修の相談を受けて何度か足を運んでいる。
巫女さんたちはいつも正座や膝で移動したりしている。
意外と重労働のようである。
そこで、掘りごたつ式、または床をなくしてしまって土間にしてはどうか
という検討を始めた。

それにしてもお宮の中をウロウロするのは気持ちの良いものである。
杜の中は木々の香り、鳥のさえずり、気持ちの良い風が通り過ぎる。

足王社はすでに完成して数年経っているが、ヤシロに近づくと木の香りがする。
材種はヒバであるからヒノキより少し神々しい香りがする。
木を格子状に組み合わせたデザインは、建築というより、神具の八足であったり、
胡床と言った「道具」から発展させたものである。
格子の隙間を杜の風が抜ける時、ヒバの香りを風に染み込ませてくれるのである。
そしてこの格子は何かに支えられている飾りではなく、
1本1本は細くてか弱いけれど、助け合いながら地面に自立している。
全体に満ちるゆらぎのデザインは、人が歩むシークエンス、
軸線や上昇する力が必然的にもたらした曲線や変化である。
これら総合的な環境的芸術によって、参拝者は癒されると思っている。

資料を整理していたら2015年に描いた初期のスケッチが出てきた。
初期は回廊がなく、参拝する社だけが計画されていた。
その時すでに格子の隙間のあり方、祠の参道の構想が示されている。

この後、模型、CG、図面、実物大模型など様々なツールで詳細に
ブラッシュアップしていったのであるが、決して矮小化することなく、
むしろ洗練されていったことがわかる。

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