上野公園、西洋美術館で開かれていた
ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代 を観た。
作品としては初期のものにとどまっていたから物足らなかった人もいたかもしれないが、コルが絵画を描きはじめ、同時代の画家たちが到達しているキュビズムに触れ、やがて建築によって自身の表現の手段としていく過程を丁寧に観ていくことができ、私としてはとても面白かった。とはいえ、今回の展示は、サヴォア邸を実際に見たことがある人とそうでない人では理解が異なる可能性もある。写真だけでわかった気がしているのと、実際に歩き、上り、振り向き、仰ぎ見て自分の平衡感覚と視覚、視線、記憶で空間を体感したのでは大きな差があり、その理解の上でこれら絵画を観ることが必要だったと思われる。しかし西洋美術館において展示されていたのは救いであった。注意深く空間を感じながら観た時、その理念は理解できたと思われる。美術館の内部を歩いていく空間体験そのものに内包されていることを改めて感じ、身震いがする思いであった。